今回は、その中でも国内外で利用者が多い”チャットワーク””のChatWork株式会社 代表取締役・山本敏行氏にインタビューを行った。
- 「ChatWork」のサービスについて教えてください。
チャットワークはビジネスチャットツールでチャットの他に、タスク管理、ファイル共有、ビデオ/音声通話ができます。私達は社内外のビジネスのコミュニケーションの手助けをしています。
2011年にサービスの提供を開始し、2016年9月末時点で11万3000社以上に利用してもらっています。
- 山本氏のバックグラウンドについて教えてください。
1979年3月21日、大阪府寝屋川市生まれ。中央大学商学部在学中の2000年、留学先のロサンゼルスにて中小企業のIT化を支援する”株式会社EC studio”を創業し、2004年に法人化しました。
2011年にクラウド型のビジネスチャットツール”チャットワーク”サービスを開始。
2012年に社名を”ChatWork株式会社”に変更し、米国法人をシリコンバレーに設立。現在は自身も拠点をシリコンバレーに移し、日本発、世界中で使われるITサービスをめざし、日夜マーケティング活動に奔走しています。
- なぜ・いつこのサービスを始めようと思いましたか?
大学在学中に、ホームページの売り上げアップを支援する”株式会社EC studio”を立ち上げました。ただ「いずれ世界に通用するプロダクトを作りたい」という思いがあり、その際に気づいたのが「ビジネスにおけるチャットの有用性」です。弟であり、CTOの山本正喜を中心に”チャット機能”と”タスク管理機能”に特化したサービス「チャットワーク」の開発に着手しました。
「チャットワーク」が誕生したのは2011年3月。世界中のほとんどの人がビジネスチャットに注目しておらず、メッセンジャーサービスもまだ流行っていない時代から、ビジネスでのチャット利用が当たり前になる時代が来ると見越していました。
それは私自身が社内でのコミュニケーションはチャットのみで行い、その利便性を誰よりも理解していたからです。
その後、「チャットワーク」が新しいコミュニケーションインフラになると確信し、順調に展開していたホームページ支援などの10事業を無償譲渡し、事業を「チャットワーク」に絞りました。
-今後のターゲットや競合との差別化について教えてください。
私たちが見ているのは、他社ではなくユーザーです。
そういう姿勢でなければ、他社をあまりにも意識しすぎるあまり、ユーザーニーズからかけ離れたサービスを提供することにもなりかねません。働き方に革命をおこす、というのが私達のミッションなので、働く人々が働きやすくなるには、ChatWorkはどのようなサービスを提供していけばよいのか、ということにフォーカスして機能開発やサービス改善を行っています。
「チャットワーク」の強みは、ITに触れたり、知識がなくても、すぐに使いこなせるような仕様になっており、それが導入増加に貢献しています。
国内だと士業や建築不動産業、介護業界など、非IT業界で拡大しています。
私たちは歴史を作っている最中にあります。メールが紙ベースの業務から台頭したように、まさに今メールの時代を終え、チャットで仕事をするのが当たり前の世界を作ろうとしているのです。
それは一社だけではできないことだと思うので、市場が活性化することは良いことだと捉えています。
-今後の展開、また海外での展開について教えて頂けますか?
我々はチャットワークがすべてのビジネスの起点となるプラットフォーム構想を描いています。チャットで業務を効率化させるだけでなく、チャットワークというコミュニケーションプラットフォームにビジネスマッチングや決済サービスなどをのせることで「チャットワーク経済圏」を創造したいと考えています。
リリース当初から英語対応をしており、自然増での海外ユーザーが増えています。海外でのユーザー増をさらに加速させるべく、特にアジア市場でのマーケティング活動を強化しています。アジア圏で注力している、またしていく市場は、台湾、ベトナム、タイ、インドネシアの4ヵ国。
台湾に於いては、2016年4月に駐在員事務所も設立し、現地企業の導入も広がっています。
ベトナムはオフショア開発を行う日系企業を中心に広がりを見せています。
今後はタイ語とインドネシア語、そしてヨーロッパ、南米展開を見据えてスペイン語への言語対応など、ローカライゼーションを行っていく方針です。
- どのような投資家や起業と繋がっていきたいですか?
投資家としてはお互いの相性が良く、かつ我々のグローバルに対するチャレンジに理解をしていただき、後方支援して頂ける投資家の皆様、企業としては各業界のリーディングカンパニーのような、IT業界ではなくても新しい働き方やツールに積極的に取り組んでいただける企業と繋がりたいと思っています。
- 過去に投資を受けていますか?
2015年に3億円、2016年に15億円の資金調達を実施しています。
- 山本さんの1日のスケジュールを教えてください。
8:00‐9:00 子供の幼稚園見送り
10:00‐12:00 オフィスにてチャットワークで業務
12:00‐13:30 来客とランチ
14:00‐18:00 社内ミーティングや社外との電話会議・訪問
18:00‐22:00 帰宅後、晩御飯と子供との時間
22:00‐24:00 日本とのビデオ会議
1:00 就寝
-よく使用するアプリは?
もちろん、チャットワークです。
-お気に入りのハングアウト場所はありますか?
自宅マンションのプール&BBQスペースです。
- あなたが影響を受けた人物は誰ですか?
松下幸之助です。松下幸之助記念館に社員全員でいったこともあります。
今回のインタビューは対面ではなかったが、山本氏の回答やビジョンからは経営理念に掲げた「Make Happiness」の通り「ChatWork」という企業、そして社員への強い思い、また常にチャレンジ、向上して行く姿勢が随所に感じられた。
日本発の「チャットワーク」がビジネスチャットツールそのものを表す言葉になる日もそう遠くではあるまい。