ドライブスルーに行かなくて良い日が来た!
こう言うと日本ではあまりピンとこないかもしれないが、日常生活に必ず車が必要なロサンゼルスではファーストフードレストランに行くだけでも少し距離があったり、歩行者が少ない場所では夜歩くのが危ない事もあるのでファーストフードレストランが近くにあったとしても車でドライブスルーへ行く事が多々ある。車を出すとなると買いに行くにも少し億劫になりがち。
Stefan Fraas(ステファン・ファス)氏は2003年にロサンゼルスを訪れた際、カリフォルニア州で人気のバーガーショップ、In-n-outのハンバーガーがどうしても食べたかった。
しかし滞在先のホテルから出るのが面倒だった彼は、フロントデスクとコンシェルジェにその旨を伝えたところ、ホテル従業員がタクシーに乗って買いに行ってくれた。
$5ほどで買えるセットメニューだが、タクシー代などもすべて含め約$80ホテルへ支払ったという。
そんな時思いついたアイデアが、Foodida!のファーストフードデリバリーサービスだ。
日本ではファーストフード店のドライバーが配達してくれるが、アメリカではピザ屋さん以外のファーストフード店では配達サービスがほとんど無い。あったとしても、地域が限られている。
Foodida!のiOSアプリ又はウェブサイトを利用すると、約400件のファーストフードレストランから好きな物を選び注文することができ、そしてFoodida!が近くのドライバーを見つけてくれる。
そのドライバーがレストランで注文したものを受け取り、家またはホテルなどの滞在地まで配達してくれる。例えばマクドナルドでハンバーガーセットを頼み、スターバックスでコーヒーを頼むなど注文は複数件からでもできる。
注文から受け取りまでにかかる時間は約30分~45分。
顧客は注文してから受け取りにかかった時間分のポイントが貯まり(長くかかればかかるほどポイントが多くもらえる)、そしてドライバーも早く配達できればできるほど多くのポイントが貯まるシステムになっている。ポイントは次回注文時に割引として使える。
このポイント制により、顧客からのクレームを減らし、そしてドライバーにも急いで配達させるという何とも賢いシステムだ。
値段は、ドライバーが何件のファーストフード店で受け取らなければならないか、そして運転距離により決まる。ドライバーの一回の配達収入は約$5~$7。
ドライバーはタクシーのように随時待機しているわけではなく、Foodida!に登録しているドライバーが好きな時間、好きな場所でお小遣い稼ぎできるようになっている。
ドライブスルーに行くついでに誰かにも配達してあげようという感覚で簡単にできる。
それでは注文する側からするとドライバーを見つけるのに時間がかかるのでは?と思うかもしれないが多くのドライバーがFoodida!に登録しており、注文が入ると近くにいるドライバー全員にメールが行くシステムになっている為、今のところ簡単にドライバーが見つかるよう。
ドライバーになるには運転免許所、車の登録証、そして車の保険に入っていることを証明する書類をFoodida!に提供しなければならない。その後Foodida!は、犯罪履歴や事故履歴がないかなどのバックグラウンドチェックをし、すべてクリアした人のみドライバーになれる。そのため、安心してサービスを利用できるようだ。
2015年3月にロサンゼルス郊外でサービスを開始し、現在はロサンゼルスの主要エリアは全てカバーしている。
今後はカリフォルニアの主要エリアだけでなく、州外の主要都市でもサービスを開始する予定。
実はFoodida!の創立者ステファンをインタビューする前、シリコンビーチのピッチコンテストで彼のピッチそして印象に残るスライドを見ていた私は今回どうしても聞きたい事があった。
「どうしたらあなたのように上手なピッチができ、かっこいいスライドが作れるんですか?」
彼は、元々SAPでアカウンティングソフトウェアのコンサルティングをしており、その後コンサルティング会社を立ち上げ、売却に成功。コンサル時に多くの人前でプレゼンテーションしていた経験と、Foodida!のサービスに自信を持っているところから彼のピッチが生まれたという。
Foodida!でも自SAPソフトウェアを利用していることから信頼性の高いサービスを作り上げることができたとのこと。
そしてグラフィックデザインやマーケティングにも力を入れており、専任のグラフィックデザイナーが広告やソーシャルマーケティング用の写真を担当している。
彼らのユニークなインスタグラム写真やイメージは直ぐにフォローしたくなる人が多いのではないだろうか。
最後にステファンは、「シリコンビーチではスタートアップに有難い投資家やアクセラレータ、インキュベーターが集まっているが、良いアイデアを持っていたら世界のどこにいてもビジネスを始められる!」と言う。
ロサンゼルス郊外でサービス提供を開始し、今ではシリコンビーチだけでなく他地域のVCからも注目を集めている。
今後、南カリフォルニアへ来る旅行者や出張者にも頻繁に使われるサービスとなるだろう。