命を救うヘッドギア

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長い勤務時間が続いて、仕事中についつい目がうとうと…。

人の命を運ぶバスの運転手や飛行機のパイロットにも眠気は襲ってくる。

2013年、イギリスのパイロット連合は、50%以上のパイロットが操縦中に眠気に襲われて寝てしまったことがあるという調査結果を発表した。そのうちの29%は、起きた時に他のパイロットも寝ていたことがあると報告した。実際に、日本でも長距離バスの運転手が居眠りをして事故を起こしてしまった事件も記憶に残る。

Kimo Arbas(キモ・アーバス)は飛行機事故で友達を亡くし、人の命を救える方法はないかと考えていた。そこで生まれたのがPilot Angel(パイロット・エンジェル)。

パイロット・エンジェルは、脳波センサー付きヘッドギアを開発し、操縦士に眠気が襲ってきているような前兆が見られるようになるとスマートフォンに情報が送られ大きなアラーム音が鳴る。

それでも操縦士が応答しない場合は、責任者や非常時に対応する部署に位置情報を含めた情報が届けられる仕組みになっている。

このヘッドギアは帽子に取り付ける事も出来るようになる為、パイロットや電車の操縦士だけでなく、トラックドライバーや車を運転する私達も使用することができる。

2016年4月にHIPSTARTERSが行ったインタビューの中でパイロット・エンジェルの創設者であるキモは彼とチームの背景を語ってくれた。

キモは理系家族の中で育ち、幼い頃からテクノロジーや科学に興味を持ってきた。大学でコンセプチュアルアートを学んだ彼は、パイロット・エンジェルのコンセプトを実現させるために、テクノロジーや科学コンベンションによく足を運び、優秀なエンジニア達を探した。

二度のメンバー構成に失敗したあと、現在のメンバーである、NASA出身の科学者やBelkin出身のデザイナーとチームを組みヘッドギアを作り上げた。

見事パイロット・エンジェルのヘッドギアはAT&Tのハッカソンで優勝。

近い将来多くの人の命を救うようになるこのプロダクトは完成まで秒読み状態にあり、現在は海外にも足を運びパイロット・エンジェルのビジネスパートナーとして相応しいと考える投資家を探している。

候補としては航空会社、鉱業系会社、船会社、長距離トラック・バス運送会社、自動車会社、保険会社などに興味がある。高額投資を募る際は特に投資家がプロジェクトをコントロールする事が多くなるので、投資家を慎重に選ぶことはとても大切なことであると考えているそう。

気軽に新しい人と出会えるようなアプリや、新たなSNSの開発で賑わう現在のシリコンビーチでは、キモの様に人の命を救えるプロダクトを開発するスタートアップがそれほど無いような気がする。

スタートアップ企業を作り、億万長者になりたいという創設者が沢山いるこのシリコンビーチで、一番に人の命を救う事を考えている彼はとても素晴らしい。

アメリカでヘッドギアのローンチを行った後は、世界中に展開していくことを計画している。

最後に彼は、「どんなに頑張り、正しいことをしていても進行の障害になる事が出てきたりもする。そんな時、自分の考えやアイデアを固く守り通す事がとても重要だ。」と語ってくれた。

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