Santa Monica New Teach(サンタモニカ・ニュー・テック)というと、シリコンビーチで知らないエンジニアや起業家達はいないかもしれない。
Santa Monica New Teachは、シリコンビーチで一番長く運営されているTech系スタートアップが集まるMeetup(ミートアップ)グループだ。
シリコンビーチだけでも7000人以上のメンバーがおり、毎月恒例のピッチイベントには数百人が必ず集まる。
現在はシリコンビーチだけでなく、イギリスのロンドン(London New Teach)、そしてフランスのパリ(Paris New Tech)でもイベントを開催し合計で21000人のメンバーがいるそうだ。
今日は、Santa Monica New Teachグループの創設者、Marinan Zdobnovaにインタビューを行い彼女のイベントにつき詳しく聞いてきた。
ロシア出身の彼女は15年前にアメリカへ渡米し、ボストンのBabson College大学院でファイナンスと起業について学んだ後、大手のコンサルティング会社でコンサルタントとして活躍した。
One Laptop per Childというボランティアグループにも参加し、数ヶ月ベトナムへ渡り孤児へオープンソースソフトウェアの使い方を指導した経験も持つ。
その後、独自のスタートアップを立ち上げようとしている際、ボストンからお天気の良いシリコンビーチに引っ越してきた。
スタートアップを立ち上げるにあたり必要な情報を取り入れ、またネットワーキングできればと思いMeetupイベントに参加したが、当時参加した全てのグループが6ヶ月以内に無くなってしまったという。
ニューヨークの起業家達が集まるイベントにも参加していた彼女は、そんなグループをシリコンビーチに作れればと思い2012年にSanta Monica New Techグループを立ち上げた。
その頃は今のようにコーワーキングスペースが無かったので、サンタモニカ市の図書館の一室を借りてイベントを行っていた。
情報交換そして学びの場として始まったグループだか、今では毎月のピッチイベント、起業家や投資家、そして起業してみたいという将来の起業家達が多く集まるハッピーアワーやStartup Course(スタートアップコース)と呼ばれる起業家育成プログラムも開催している。
大勢集まるイベントがほとんどだが、毎週末行われるコーヒーショップでのMeetupには数十人の参加者が集まるのでより深いコネクションを作る事ができる。
Photo: Santa Monica New Tech Meetup Page by JT
今までにSanta Monica New Techでピッチしたスタートアップは270件を超える。ロンドン、パリでのピッチを合わせると500件以上。最近では、海外からピッチへ参加するスタートアップも増えている。中でもピッチへ4年前参加したRealty Mogulは現在、数百万ドルのビジネスになっているという。
このピッチイベントと他のピッチイベントと何が違うかと言うと、直接投資家へ向かってピッチするというよりも、大勢の人前で独自の商品やアイデアをピッチし色々なフィードバックをもらう事ができるという点だ。中には投資家ももちろんいる。エンジニア、他の起業家達、ちょっと興味があるだけなど色々な人が集まっている。
ピッチの練習をしたい人、そしてビジネスの宣伝をしたい人にとても良い場所だ。実際に私もこのピッチイベントで知ったアプリやサービスを使っているので良い宣伝の場となるには間違いない。
一週間行われるスタートアップコースの参加者の中からはElegy, Puptimize and Zappbuddなどのシリコンビーチスタートアップが生まれている。
Santa Monica New Techイベントはスタートアップに優しく、このグループに参加すると、Mentor(メンター)やCo-founder(共同創立者)となるようなパートナーにも出会えることもあり、プロトタイプのテストをする事も可能だ。
ほとんどのイベントが無料、先ほど紹介したピッチや宣伝も無料で出来るので資金源が少ない、リーンスタートアップを目指す起業家達にはとても有難い。
シリコンビーチの起業家、投資家だけでなく、アメリカ政府もTech系のMeetupグループを支援している。Marinaもホワイトハウスに招待された事があり、このことからオバマ政権がテクノロジー分野そしてスタートアップに力を入れている事がわかる。
シリコンビーチは、シリコンバレーに比べると南カリフォルニアの天気が影響しているせいか、ビジネスも固くなり過ぎず、フレンドリーな人が多い。
仕事と私生活のライフバランスが上手く取れやすいという事でも、最近シリコンビーチに移ってくる人が多い理由ではないだろうかと彼女は語る。
Santa Monica New Techグループそしてここから生まれるスタートアップの今後がとても楽しみだ。